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#82 箱根駅伝で話題の厚底シューズ”ナイキ、ヴェイパーフライ”の効果を実際に検証している論文のご紹介

箱根駅伝が今年も盛り上がりましたね。新記録が爆誕してましたw

 

 

その要因とってるのがナイキが作っている”ヴェイパーフライ”というシューズです。

その着用率は84.3%(177/210名)。全10区間中9区間でヴェイパーフライを履いた走者が区間記録を出しました。ちなみに区間新記録は6名で半分以上の区間で新記録が出ました。

2020箱根駅伝 “厚底”に履き替えた青山学院大が優勝奪還/ナイキ着用率はナント84.3%に急増!(山口一臣) - 個人 - Yahoo!ニュース

これは選手のレベルは毎年高くなっているのはもちろんのことですが、シューズの性能による影響が大きいように思わます

 

 

ちなみにヴェイパーフライの特徴として

厚底

の衝撃緩衝機能にばかり焦点が当てられがちですがミッドソール内蔵の

カーボンプレート

によるバネ作用の効果も大きいと思われます

 

 

構造はこのようになっています。

Fig. 1

Hoogkamerら(2018)より引用

 

 

 

今回はヴェイパーフライの効果を検証している論文をご紹介します。

 

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A Comparison of the Energetic Cost of Running in Marathon Racing Shoes | SpringerLink

 

ラソン用レースシューズにおけるランニングのエネルギーコストの比較

 

方法

 

比較したシューズ

①ヴェイパーフライ(NP)

②コントロールシューズ:Nike Zoom Streak 6(NS)

③当時の世界記録保持者が履いていたシューズ:adidas adizero Adios BOOST 2 (AB) 

 

実験①物性テスト

Fig. 2

Hoogkamerら(2018)より引用

 

図のような装置で約200kgの力を真上からかけた際の変形がどの程度かを観察

Fig. 3

Hoogkamerら(2018)より引用

 

・NPは変形が大きく、NPはNSやABよりも二倍軟らかい(コンプライアント)ことがわかりました。

・NPは力学的エネルギーの貯蔵が大きい

・NPは跳ね返りが大きい:NP(87.0%) 、 AB (75.9%)、 NS (65.5%) 

 

実験②ランニング

 

被験者:18名のランナー

 

プロトコル:14, 16, 18 km/h の速度でシューズそれぞれで5分間トレッドミルランニング

 

データ収集:地面反力(メインの結果じゃないので省きます)、エネルギー消費

 

 

結果

NPが他のシューズよりもエネルギーコストが約4%低い

 

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これが”ヴェイパーフライ4%”の由来なんですかね

”エネルギーコストが約4%低い”のでタイムが4%縮まるわけではありません

こちらが実験のシューズが商品化されたやつ
 
 

現在はヴェイパーフライネクスト%が販売されています。箱根駅伝で出走していた選手のほとんどはこちらを履いてましたね。

ナイキから「ヴェイパーフライ ネクスト%」が登場!! 4%との違いとは | RuntripMagazine[ラントリップマガジン] 

 

 

 

できるだけ軽くするため、ヴェイパーフライは耐久性がありません。一回のレースでカーボンプレートが割れてしまうこともある...らしい!ことを考えると練習は別のシューズで実施したいですね。そこで練習&庶民向けに使えるのが廉価版のズームフライ

 カーボンプレートではなくナイロンプレート(カーボン含むらしいw)を搭載。価格も1万円台なので...まあ買ってもいいかな...

 

 

 

 

シューズの硬さ(バネ)に関する論文は以前にも紹介してました

www.sportscienceresearchjpn.com

 

 

 

 

 でもずーっと厚底シューズを履いてると足は退化するかも?

 

www.sportscienceresearchjpn.com