最近、マラソン界では世界記録が更新されましたね。
更新したキプチョゲ選手が履いているシューズはヴェイパーフライ(ナイキ)です。日本記録保持者の大迫傑選手も履いているようです。
ヴェイパーフライはミッドソールが厚底である事に加え、カーボンプレートを搭載することで衝撃緩衝機能とバネ機能を兼ね備えたシューズと言われています。
数年前に発売されたヴェイパーフライ4%はランニング効率を4%改善させたことからその名前が付けられたようです。現在はNEWバージョンが出たので値段が少し下げられています。
キプチョゲ選手がマラソンの世界記録を叩き出した際に使用されていたのがヴェイパーフライNEXT%です。
実際ヴェイパーフライ4%はソールがヘタリやすいので、そのあたりを改善した感じですかね?
長距離アスリートの知人が多くいるのですが、これを履いた彼らの話を聞くと
"自分の走りじゃないみたい"
と言っている人が多いです。競技会を見てもこれを履いてるひとが非常に多い...。これは道具で明らかにパフォーマンスが違ってしまっている?陸上界、本当にこれでいいのか?とか思ってしまわなくもないですが...部外者は傍から見守ることにします。ルール上はスプリング(バネ)が入ってなければOKらしいので問題はないらしいです。が、現在捜査中であるとなんかのニュースでやってましたね。
今回はシューズのミッドソールを硬さ(バネ)がジャンプや切り返し動作に与える影響を調べた論文を紹介します。ランニングは今後紹介します。まずは単発で単純な動作から。
Influence of midsole metatarsophalangeal stiffness on jumping and cutting movement abilities
ミッドソールの中足指節部分の硬さが跳躍および切り返し能力へ及ぼす影響
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1243/17543371JSET69
下半身の関節は股関節、膝関節、足関節などが有名です。しかし、これまで無視されてきた足部の中足指節(MTP)関節も歩行やランニングなどの移動運動で大きな役割を果たします。
MTP関節が硬い、つまりバネが強いとジャンプ等のパフォーマンスが向上することが予想されます。この論文では、シューズのミッドソールを硬するとジャンプや切り返し動作がどのように変化するかを検証した論文です。
方法
被験者
12名(チームスポーツ選手)
ソールの曲げ剛性が異なる2つの異なるシューズを使用し、2つのテストが実行されまた
①急速な横方向のブレーキングと切り返しの動きを含む多方向(Multi-D)スプリントテスト、
②疲労前後の条件でのドロップジャンプ(DJ)と反動つきジャンプ(CMJ)を含む疲労テスト。
結果
①多方向(Multi-D)スプリントテストにおいてミッドソールの剛性の高い方がパフォーマンスが良かった
②疲労時には反動ありジャンプにおいて、ミッドソールの剛性の高いグループに9%のパフォーマンス低下が認められた。対して、ミッドソールの剛性の低いグループは16%のパフォーマンス低下が認められた。この差(9% vs 16%)は統計的に有意な差であった
より硬いミッドソールと比較して、軟らかいミッドソールはジャンプ能力が大幅に低下する。MTPミッドソールが硬いとジャンプ能力に対する疲労の影響をヘルプできる
したがって、ミッドソールのMTP剛性が高いと、疲労状態を含む屋内スポーツ特有の動きのパフォーマンスが向上します。